2016年09月03日

Flashback解雇通知

ご訪問ありがとうございます。

今回は、またしても突然脳裡に蘇り、私を苦しめる事件についてお話しします。


都内の店舗を閉店して、埼玉の直営店を引き継ぎ、オーナー店としてスタートするためには、避けて通れない試練だった。

それは、直営店のスタッフの選別であり、オーナー店に移行する一ヶ月前に本人に直接、採用不採用(継続雇用か解雇)を言い渡さなければならないという嫌な仕事だった。

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都内の閉店業務と並行してそれは進められた。

なぜ、選別が必要だったのかといえば、私が深夜勤務で、家内が昼間の勤務をしなければならない。都内の店舗のようにマネージャー抜きという営業形態は許されない。マネージャーの就業はリロケートの必要絶対条件であった。だから、24時間オールアルバイトとパートさんで運営されていた直営店では、人余りとなってしまう。少なくとも、深夜7人を3人に減らし、昼間の時間帯のスタッフも一人削らなければならなかった。

そして、時間を作り、直営店に乗り込んで、各スタッフと面接を行った。

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深夜スタッフに関しては、オーナー店への移行が確定した時点で、3人自ら辞めていきました。そして、もう一人も希望シフトと当方の希望シフトが合わずに自ら退いた。問題は、昼間のスタッフの選別だった。


ここの直営店では、早番7:00〜13:00 遅番11:00〜17:00というシフトがあった。

Aさん:早番遅番可能、土日祝日勤務可能で週4〜5日可能な20代前半の男性フリーター

Bさん:早番のみ可能、土日祝日勤務可能で週4〜5日可能な10代後半の女性フリーター

Cさん:早番遅番連続勤務必須、土日祝日勤務可能で週6必須な30代後半の主婦

Dさん;遅番のみ可能、平日のみ勤務可能で週3日希望の30代前半の主婦

マネージャーの勤務日時を考えれば、一目瞭然でDさんの脱落は避けられそうもない。

そこで、Cさんのシフトを少しでもDさんに分けられないものだろうか。面接で、Cさんのシフト減を打診してみた。

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しかし、見事に断られた。話によれば、勤務5年以上かけて勝ち得たシフトであり、生活がかかっているので絶対に減らせない、もし、シフトが減る可能性があるなら退職もやむをえず、その場合は早く教えて欲しいとのこと。

さらに、Cさんには小さなお子さんがいるため安定的な出退勤に疑問符がついた。

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しかし、若々しく明るく元気な様子は昼間のコンビニにはぴったりの人材だと思った。

私は、悩みに悩んだ。睡眠不足になるほど悩んだ。

直営店で、平穏無事に勤務していた人たちにとっては、まさにいい迷惑だったに違いない。

シフトをいじくられ、最悪強制退職を言い渡される可能性がある。

後日談で聞いた話だか、その選別の話は、直営店舗の本部担当から聞かされており、全スタッフ戦々恐々としていたらしい。自分がターゲットにされるかもしれないというネタで暗雲が立ち込めていたという。

一週間以上も考え抜いた末、やはりDさんを割愛するしか道はなかった。

オーナー店移行約一ヶ月前の某日、最終面談で、採用不採用を本人に伝えなければならない。

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「許して欲しいとか、理解してもらいたいなんて言える立場にないのは重々わかっています。でも、マネージャーの就業は絶対避けられないんです。シフト時間帯がマネージャーとかぶってしまうため、Dさんのシフトをマネージャーに譲っていただけませんか?こちらの、一方的なお願いで、本当に自分勝手だと非難されても仕方ありません。だた、申し訳ないとしか言いようがありません。本当にごめんなさい。もし、許されるのなら、なんとかお願いできないでしょうか。本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。」

そのようなセリフを絞り出して、頭を深々と下げて、受諾を乞いました。


「ふざけんじゃないわよ! 人をなんだと思ってるのよ! 自分勝手なこと言わないでよ!」

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そうキレて、罵倒されたら、少しは気が楽になれたかもしれない。

そりゃ、頭きますよね。いきなり現れた訳のわからぬオッさんに、突然、人がダブってしまったので辞めてくれなんて。

人間不信に陥りますよね。

彼女に一体なんの罪があるのだろうか。

もし、逆の立場だったら、本当に辛いだろう。いや、その立場にない以上、その辛さを理解できるなんて無責任な発言は許されるはずはないだろう。



Dさんは二言三言不平不満らしき文句を言って、涙を一杯溜めていた。

真っ赤な目で、私を睨みつける、その眼光を今でも忘れることができない。

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一人の主婦の職場環境を破壊し、剥奪して、気分がいいわけない。いくら、一ヶ月以上前の告知であれば、法律上問題ないとはいえ、気がひけるし、強く罪悪感を感じた。本当に心が痛かった。


静かに立ち上がり、事務所を後にした彼女は、その後仕事が正常にできただろうか。彼女の心情を考えれば、平常心で居られるわけなかっただろう。心底、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


なんとも、嫌な役割だった。

己が生きていくためには、仕方ない、止むをえないと自分に言い聞かせても、極度の自己嫌悪に陥った。


その後のCさんの話では、Dさんは子育ても一段落したので、土日もシフトに出て収入を増やしたいと言っていたそうだ。

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さらなる罪悪感に押しつぶされそうになった。

なんとも後味の悪い出来事であった。


しかし、彼女はまだ30代前半であったため、次の職もすぐに見つかったとのことでした。それが、せめてもの救いだった。


今、冷静に考えると、直営店を引き継ぐ前の人事権は、本部にあるんじゃないの?

いや、いや、いや、本部は綿密にその辺の割り振りを考えてその役割分担を明確に取り決めて、契約書に明記しているはずだ。(未確認だが多分)


この話には後日談がある。

私は、これで、少しは救われた気がした。


近隣に御三家が乱立して、店が傾きだした頃、ちょうど、Dさんが強制退職を余儀なくされてから4年位経過した頃の話です。ちょうど昼間のスタッフさんが辞めて、昼シフトが不足気味な時期がありました。そんな時期に、たまたまCさんに会いにDさんが店舗に訪れたという話を聞きました。

私は、過去の贖罪という意味合いも含めて、Cさんを通して、復帰のラブコールを送らせて頂きました。本当に戻ってきてもらいと思いました。


しかし、見事に一蹴されました。



理由は、もう既に現職の仕事が軌道に乗っているし、その仕事が気に入っているとのことでした。

そりゃ、そうですよね。

「今更、何言ってんの?身勝手なこと言わないでよ、この恥知らず!」

と思われても仕方ないですよね。



そして、なんとご本人が後日店にたまたま現れたので、当時の非礼とひどい仕打ちを再び丁重に詫びました。

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「あの時は、仕方なかったですよね。もう、なんとも思ってないですから。」

本当だろうか?

しかし、私は、なんとか少し救われた気がした。



しかし、Dさんの怒りと悲しみに満ちた、涙で潤んだあの瞳は、永遠に忘れられない。同じように、彼女の心の傷も永遠に癒えることはないのかもしれない。そう考えてしまう私は、永遠にそのフラッシュバックから解放されないだろう。

まあ、仕方ないか。罪と罰だろう。

コンビニのリロケート(移転)には、このような精神的苦痛リスクも伴う。(あくまでも、低ランク契約で、直営店を引き継いだ場合に限定されますが)


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そのリスクを回避するために、リロケートの時には、既存スタッフを公平に全員解雇するという荒技(総入れ替え)を断行するオーナーもいる。そうすれば、新店同様のオープニングスタッフとしての採用が可能となるため、新戦力も集まりやすい。また、変な既存ルール、雰囲気もないため、スタッフにとってはプラスだろう。さらに、目に見えない既存不正行為の撲滅のためにも、店にとってもプラスだ。

しかし、オーナーの仕事は一時的に多くなり、かなりの困難を抱え込む可能性も避けられないだろう。

また、問答無用で切られた既存スタッフさん達も納得がいくわけなかろう。当然、強烈な恨みを買うかもしれない。

しかし、これがコンビニ経営(奴隷?)の現実だ。

人様の痛みなどかまっていられなくなってしまうのだろう。

でないと、自分が生活できなくなってしまう。


だが、冷静に考えれば、誰でも理解できる。

マネージャー(奥様)の協力は前提条件だが、スタッフさんたちの協力なくしては絶対に成り立たないのがコンビニ奴隷契約だ。

オーナー様だ!と威張り散らして、パワハラ、セクハラオンパレードでは、限界が見えてくる。

運命共同体として、いかにご協力いただくことができるかがメインテーマだ。



「オメー、偉そーにンな甘いこと言ってっから、落ちぶれたんじゃね?」


かもしれませんね。(苦笑)


でも、人は独りでは、何もできないと痛感したのは事実でした。



ご訪問ありがとうございました。



posted by Sun9 at 01:46| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする