2016年07月02日

熟練常連万引犯

ご訪問ありがとうごさいます。

ふと、ある万引犯の事を思い出しました。

コンビニ経営にとって、万引、内部不正は避けて通れない試練だろう。

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(画像はイメージです)


内部不正に関しては、厳密に言えば、かなりの精度で予防ができる。しかし、万引に関しては、パクる気満々の輩は、万難を排して必ずマイミッションを遂行して行く。

そして、熟練者は、周囲に複数のお客様がいても、ひるむ事なく、堂々とやってくれる。キョロキョロもせずオドオドもせず表情一つ変えずにパクっていく。

滞留時間が長く、突然店を出て行くという場合、かなりの確率でやられている。防犯ビデオで確認すると、決定的瞬間に遭遇してしまう。そして、不幸にもそういう熟練者に、絶好の狩り場(パクリ場)としてお気に入りにリストアップされられてしまったら、長い目で見たら甚大な被害を被ることになる。

熟練者の来店の度に、神経をすり減らし、目が離せない。バックルームでビデオモニターに釘付けとなり、犯行の決定的瞬間を息を飲んで待つ。しかし、不審な素振りをみせず、イライラさせられる。

「こいつ、今日は仕事していかないのか?」

しかし、一瞬の隙を見つけて、パクっているに違いない。熟練者は、ほぼ完璧に己の欲を満たして出て行く。現行犯で捕まえるなんて、ほぼ不可能だ。ただ被害を最小にとどめるために空しい努力をしなければならない。そして、熟練者の来店から店を出て行くまで、貴重な時間が失われてしまうのだ。

万引は、現行犯でないと捕獲(逮捕)出来ない。つまり、犯行の一部始終を確実に見ていて、店舗の外に出たら
声をかけるのが原則だ。その為の、警戒待機時間は相方にも負担をかけるし、私も貴重な時間を喰われてしまう。本当に無駄な時間と言わざるを得ない。

しかし、パクリ犯を摘み取って行かなければ、売上マイナス要素は減っていかない。

「検挙出来なくてもいい。せめて、二度と来ないでくれよ。」


そう思うオーナーは多いだろう。

私は、熟練常連パクリ屋に戦線布告した。

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かなり、危険な手法だが、やむを得ない。こちとら、少ない利益を守っていかねば、生活できないのだ。


都内の店舗での事例です。

20代前半の、OL風の女性が、熟練パクリ屋さんとしてエントリーされていた。見た目は、本当に可愛いお嬢さんで、まさかこの人がパクリ屋?と当初衝撃を受けた。

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(画像はイメージです)


彼女は、度々来店しては、食品類をごっそり持っていく。不審さは微塵も感じさせなかった。しかし、常習的な長時間の滞留と、お買い上げ無しが続けば、防犯カメラで確認したくなる。そして、大胆な犯行が明るみに出た。しかも、彼女が来るのは、夕方の時間帯で、私が常に監視できない。私がいない時は、多分やり放題となってしまっていたのだろう。だから、熟練常連万引犯となってしまった可能性大だ。

もう、当たって勝負するしかない。一歩間違えれば、人権問題に発展しかねない、ナーバスな展開となるだろう。あらゆる場面を想定して、イメトレした。


そして、遂にその時がやって来た。私の夕方勤務の時間帯に現れたのだ。


「お客様、大変失礼ですが、この写真は、お客様に間違いありませんか?」


例のごとく、何も買わないで店の外に出た所を追いかけて、唐突に話しかけた。話しかけられた熟練は、かなり驚いた様子で、私の顔を覗き込んで来た。しばし、状況が理解出来ずにいた彼女は、それでも平然と普通に答えた。

「はい、私ですけど・・・何か?」

可愛らしい声をいまでも記憶している。もし、ここで、『いいえ』の返答でも、熟練はかなり焦るだろう。なんせ、自分がパクリ行為をした後に、店を出て行く自分の後ろ姿だからだ。

「ヤバい、バレているかも。もう、この狩り場は捨てよう。」

そう感じて、二度と来なくなれば、御の字だ。そして、私は、慎重にシナリオ通り言葉を選んで、続けた。


「実はですね、大変申し上げにくいのですが、バッチリと決定的瞬間がビデオに映っているんですよね。」


突然、万引の証拠を突きつけられ、一瞬にして表情が凍り付いた彼女に、さらに続けた。


「お客さの、対応次第てす。今、ここで話し合って示談にするのも可能です。また、警察に聞いたら、令状をとって家宅捜査してもらうということも可能との事でした。」

暫くの沈黙の後、


「じゃ・・・示談にします。」

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熟練は完落ちした。

全てが、想定内であったが、可能性としては、

「ちょっと考えさせて」
「さっきの写真、やっぱ自分じゃないです。」

と切り出されて、逃げられることを予想していた。それなら、それでいい。警戒して、もう二度と来なくなればそれで充分だ。

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私は、一言も、万引したよね?みたいな事は言ってない。尋問もしてないし、監禁もしてない。


決定的瞬間



という言葉に過剰反応して、自ら進んで、罪を認めてくれたと言う訳だ。

もし、「決定的瞬間って何?」とか突っ込まれたら、こう言うつもりだった。


「それでは、その決定的瞬間をお見せしますので、事務所へどうぞ。」


そう案内されて、のこのこついて来る輩はまずいないだろう。

ヤバい、逃げられない、と感じたら、彼女は突然何か理由をつけて、その場から逃げ出すだろう。そして、二度と来ないに違いない。自分の犯行現場のビデオが存在している!と考えたら、かなりのプレッシャーと恐怖を感じるに違いない。

そして、その後イートインで話し合いをした。まず、今までパクった全てを書き出してもらった。そして、それをその場で弁償してもらった。

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そして、お決まりの文言を放つ。

「大変申し訳ないのですが、今後お客様来店の度に、また商品を持っていかれるんじゃないかなという目で、お客様を見たくないので、お互いの平和のために、出入り禁止とさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


同意したパクリ常連は、出入り禁止の誓約書を黙って書いた。また、示談の内容は、証拠映像の第三者への閲覧をさせない(本部にも)、また期間を定めて、再来店なしが確認出来れば、証拠の映像の削除をする等であった。

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そして、彼女は、表情ひとつ変えないで平然と店を後にした。締めの謝罪の言葉もなかった。

本当に、大胆不敵の言葉がお似合いだった。


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結局、店にとっては、ベストな結果で一件落着した。

現行犯で捕獲できなくても、この方法なら、かなりの確率で出禁には持ち込める。その後も何回か試したが、写真を自分と認めないケースが多かった。(写真は、ビデオから静止画像をプリントアウトしたもの)しかし、再来店は確認されず、一応その目的は達成できたといえる。

ただし、この方法は、誰が見ても、その本人がパクっている一部始終が鮮明に記録されているという状況が絶対条件だ。万が一、パクリ屋が

「おもしれー、じゃ、見せてもらおうじゃねーか!」

という展開になって、見せたビデオが不鮮明だったら洒落にならない。人権問題に発展しかねない。



また、パクる前の本人の映像を見せて、必ず本人確認をする必要がある。

「こちらに映っていうのは、お客さまご本人で間違いありませんね?」

「わからねーな。」とか、「いや、オレじゃねーよ」という展開になれば、丁重にお断りすればいい。

「大変申し訳ございません。ご本人さま以外には、個人情報となりますので、ここから先はお見せする事ができません。」と深々と頭を下げれば問題ないだろう。

本人確認せずに、鮮明ビデオを見せてしまった場合、

「これ、オレじゃねーよ。てめー、オレを犯罪者扱いするのかよ!」

と言い張られたら、終わりだ。大問題に発展しかねない。


仮に、映像の本人確認して、

「これは、オレだが、なんだよ。何か問題あるのかよ。」

となれば、鮮明画像を見せればいい。

「これ、何をされているんですか?」

拡大して、何回も見せれば、ギブアツプだろう。そして、そこから、示談に持ち込めばいい。

しかし、絶対に、こちらから「これ、万引してますよね?」みたいな事は、言ってはいけない。万が一、犯人の巧みな抵抗で本人でないという流れに傾いた場合、一気に不利な立場に追い込まれ、多額の慰謝料を請求される可能性も否定出来ない。

そして、ここでもとんでもないヤツがいるかもしれない。

「てめー、ビデオを編集して、でっち上げてんじゃネーのか?」

まず、あり得ない展開だが、その対応も一応考えておく必要がある。



本当に、かなり危険で、ナーバスな対応が要求されるが、パクられるのを黙って放置状態にしておく訳にはいかない。

少ない利益を守らなければいけない。

現行犯捕獲が難しいなら、選択の余地はなかった。



しかし、どんな想定外の事態が起きるか全くわからない。

自己の不法行為を不問とし、平然と己の権利、人権を強引に主張してくる強者達がいるのも事実だ。


実践される場合は、あくまでも充分にイメトレして自己責任でお願い申し上げます。



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冷静に考えて、こんな刑事まがいなことまでして店を守らなければならないのか。

本部も警察もあてにできないなら、やむを得ないだろう。

コンビニって、ほんと厳しいな。

生きる為に、仕方ないか。


そして、人様の財産を正気で平気でパクれる人間が存在しているという事実は、本当に恐ろしいとつくづく思った。


ご訪問ありがとうございました。

タグ:万引
posted by Sun9 at 00:18| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする