2016年04月29日

No.21人間関係に翻弄される

ご訪問ありがとうございます。

21番目の理由を追記させて頂きました。


20の理由を全て投稿し終わった後から、これも該当するかも、という内容が幾つも浮かんで来ました。そこで、それらのなかで、これはありがちで、大変苦労したというものを追加で記事にしてみたいと思いました。本日のテーマは

「人間関係に翻弄される」です。

どこの職場でも、必ず存在する人間関係の難しさ。コンビニにおいても、それは当たり前のように存在して、時として、オーナーを経済的、精神的に追い詰めることがある。もちろん、オーナー、マネージャーとスタッフ間の人間関係がこじれてしまう場合もあり得るだろうが、ごく稀だと思う。なぜなら、オーナーは、スタッフに辞められては困るので、極力公平に、優しく、忍耐強く、問題が生じないようにかなり気を使って接するからだ。
私も、スタッフはある意味、「お客様」と思って接して来た。これが、いいのか悪いのかは、そのオーナーの考え方の違いだろう。だた、正直、かなり気疲れしたのは事実だ。スタッフを好き勝手に入れ替え出来たのは、もう化石時代の話しだろう。

私は、オープニングと直営店からの店舗移動と両方体験したが、やはり、人間関係のトラブルは時間の経過とともに必ず存在して来る。

「んなバカな、うちの店はみんな仲良く、家族みたいにやってるよ。」
「あり得ないね。そんなトラブル聞いたことないよ。」

いや、大変恐縮ですが、それはオーナー、マネージャーが単に知らないだけなんです。

オーナー、マネージャーの耳に入る頃には、その状況は既に回復不可能ぐらいのレベルに達してしまっているというのが殆どでしょう。(でした。)

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しかし、オープニングスタッフ同士は年齢の差を超えて大抵皆さん仲良く、連帯し協調し変な差別もイジメも殆ど存在しないと思います。

これが、時の経過とともに、オープニングスタッフが一人辞め、二人辞めて、新人が入って来たときから徐々にスタッフ同士に壁(仕事の能力差)が出来てしまい、差別、イジメの芽が静かに育ってしまいます。また、当初はかなり面倒見のいい役割を演じていた熟練パートさんが、新人の成長とともに突然不仲となり、絶縁状態となってしまう、というケースもありがちでした。

•熟練パートによる新人イジメ
•先輩による新人イジメ


ここで言うイジメとは、静的なもの動的なものに区別されます。

静的イジメ→出退勤時の挨拶をしない、話しかけられても無視、仕事を教えない、連絡事項を告げない、仲間ハズレにする、

動的イジメ→面と向かって悪態をつく、威嚇する、パワハラ、特定の大変な仕事のみ長時間やらせる、悪口を言いふらす、ユニフォーム(名札)を隠す

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特に女性同士では、ありがちな出来事です。明確な理由もなく、ソリが合わないとか容姿、態度が気に入らないとか挨拶を自分だけにしない、などどいう一方的な思い込み、単純な理由だけで無視から始まり、そして過激なイジメに発展してしまう場合があります。


こんなことがありました。

都内での店舗で、オープンから5〜6年後の出来事だったと思います。昼間のパートさんで、マネージャーの替わりになる位の(実質マネージャーといってもおかしくない)レベルの方でした。人間的にも、仕事面でもほぼ完璧で、昼間の時間帯は彼女中心で動いていました。そんな状況の中で、22〜3才のフリーターの女性を採用して昼間の時間帯をお願いしました。その新人さんは遥か遠方から出て来て一人暮らしをしていました。実家が某大手コンビニを経営されていて、彼女自身も東京に出て来る前まではお手伝いをしていたそうです。そんな訳ですから、仕事はスグに出来るようになり、接客も明るく元気で完璧でした。もちろんビジュアル的にもキレイな感じのいい娘さんでした。

そして、暫くすると、静かに、熟練パートさんの新人イジメが始まっていたのです。


「オーナー、私、辞めます。」

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新人さんのその一言で全てが発覚しましたが、時既に遅しでした。

「完全無視かと思えば、いきなり怒鳴り出す。制服を隠されたり、名札を捨てられたり、もう我慢出来ません。私、何か悪い事したんでしょうか。」

涙ながらに訴える新人さんの姿を見て、事の深刻さを改て知らされました。全てにおいて完璧な新人を手放すのには我慢できなかった。近年稀にみるレアなハイレベルスタッフをみすみすリリースできない。

「あなたは、うちの店にとっては、絶対に必要な人間なんです。私がなんとか対処してみますので、もう少し時間を貰えませんか?お願いします。人助けだと思って、もう少し、チャンスを下さい。」

彼女に哀願して、なんとか慰留に成功はしましたが、果たして、この状況を好転させる事が出来るのだろうか。もちろん、熟練パートさんは自らは何も語らない。私は、一か八かで切り出してみた。

「○○さん、辞めるって言って来たんだけど、理由がよく分からないんですよ。何か思い当たる節はありませんか?」

「別にいいんじゃないの、辞めたいって言ってんだから。」

「いや、彼女がいなくなると昼シフトがタイトになって大変なんですよね。出来れば、残ってもらいたいんですけど、Nさん、説得して頂けませんか?」

お互い、人間同士、きちんと話す機会が設定され、話し合いのテーブルにつけば、なんかしら雪解けがあっても不思議ではないだろう。わずかな望みにかけてみた。


「えー、そうなの、じゃ、ちょっと話してみてもいけど、期待しないでね。」

かなり危険な賭けは見事に失敗した。何と、Nさんは深夜スタッフの仲のいいフリーター(男性)を巻き込んで、露骨に彼女をイジメだしたではないか。


そして、その場面をたまたま見てしまった私は、言葉を失った。

もはや、Nさんは、スーパー新人の天敵でしかない。

私は、スグに新人さんに私の非力を詫びて、彼女を自由の身にした。彼女の身に何かあったら、大変な責任問題に発展してしまう。

これ以上深入して、新人さんを庇えば、恐らくNさんも不満を抱いて、辞める可能性も否定できない。

Nさんは、ハイレベルの若くてキレイな新人の出現にジェラシーしたのだろうか。自分の居場所を失うと感じてしまったのだろうか。

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何れにしても、私の管理能力の欠如が指摘されても仕方あるまい。

私は、28才でオーナー職に就き、昼間勤務のパートさん達は殆どがご近所の主婦で、私よりも、10才以上も年上の方ばかりでした。必然的に、話し方も、丁寧語か部分的に敬語となってしまいました。パートさん達は、殆どがため口でした。この事件の時も、私は30才前半で、Nさんは40代の方でした。

ある意味、ナメられていたのかもしれませんね。

「ガキオーナーになにが分かる。辞めたいっていう人間を何で私が止めなきゃいけないの?人生の先輩に対して、失礼だろ。」

とか思ったかは分かりませんが、それに近い感情を抱いて、私の希望と反対の行動をとってしまったのでしょうか。

充分反省した私は、それ以降は、もう少しスタッフ同士が和める機会を作り、スタッフ同士がある程度の本音の部分を語り合える事が重要と考え、定期的に飲み会(未成年者はノンアルコール)を開きました。

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経費的には大変でしたが、かなり効果があったと思います。

人間(日本人?)、酒を飲んで語り合えば、不思議と仲間になってしまいますよね。


また、住宅街立地の店舗の場合、年配のパートさんはご近所から応募されてくる場合が殆どですから、パートさん同士もある程度ご近所という場合がかなりあります。顔見知りだったりとか、子供の小中学校が同じであるとか、近隣の生活環境が同じである場合がかなりあります。

「オーナー、Aさん家、豪邸に住んでんのに何でコンビニで働いてんのかしらね?」
「オーナー、Bさんとこの旦那、リストラされてずーと家にいるんですって。」
「オーナー、Cさんとこ夫婦仲悪くて、家庭内別居らしわよ。」

仕事に無関係なプライベートな情報をイヤでも耳にしてしまい、下手に余計なコメントをして、本人の耳に入ってしまうと、後でとんでもない大問題に発展してしまうこともあり得るので、相づちのみのノーコメントを貫くべきでしょう。

パートさん同士も見た目は仲良さそうでも、確実に派閥があり、また派閥がなくても、年功による階級ができあがり、パワハラ、仕事の押しつけ等で徐々に問題が生じて来ます。

「Aさんはレジしかやらないで、品出し、清掃は全部自分がやらされてるのよね。」
「Bさんは常連さんと話しばかりして、何もしないのよ。」
「Cさんはピークタイムに平気で休憩をとります。レジが込んでもシカトですよ。」
「発注時間が長くて、他の仕事をしてくれません。」
「トイレの時間が異様に長いです。中で休んでんじゃないですかね。」

自分の不満を訴え、改善を求めて来る。そして、さらに重症となると、

「オーナー、Aさんとのシフトは勘弁してくれない?」

となります。

こうなると、不仲な二人を一緒のシフトに入れてしまうと、お互いのコミュニケーション不足からくる仕事上のミスとか接客レベルの低下、終始無愛想な表情となり、下手すると些細な事で喧嘩を始める可能性もあります。

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少ないスタッフで、このようなニヤミスを避けてシフトを作成しなければいけないのはかなりの頭痛の種でした。しかし、放置してしまいますと、確実に、辞めてしまいます。

しかし、このニヤミス回避の状態なら、まだいいです。時として、完全衝突、完全ケンカ状態となってしまったら、本当に大変です。悲しい結末を受け入れなければいけませんでした。


喧嘩をきっかけに大の仲良しになる、なんていうのは、小学生位までの話ですよね。

大人になれば、些細な言動から、気持ちの取り違いを経て、大喧嘩に発展して、しまいには、

「灰になっても、絶対許せない、許さない。」
(オリジナルフレーズ)

となってしまう。

実際、こんなことがありました。時期は、移転になる1〜2年前だったと思います。

就業時期が違うパートさん同士がいて、ご近所ということもあり、非常に仲が良くて、家族ぐるみでお付き合いされていました。Xさんが先輩でYさんが後輩でした。年齢はもう二人とも50才過ぎの御夫人でした。性格はお互いに、物をズバズバいう方達で、私もよくネタにされていました。しかし、とげがなく、人生の大先輩と感じさせるその言動には、重みがあり、説得力がありました。極めて、常識的な方達でした。

しかし、Yさんのお子さんの件で、些細なことから、意見の食い違いが発生して、水面下でお互いの相手に対する不満が募り、静かな喧嘩状態となってしまいました。ここで、年長のXさんが自らの非を認め、Yさんのお子さんに直接謝罪し、Xさんにも謝罪しました。

これで、一件落着。
あーよかった!


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とはなりませんでした。

詳しい理由は全く分かりませんが、さらなる確執を生み、お互いのご主人をも巻き込んでの場外乱闘にまで発展してしまいました。

私も可能な限りの介入を試みましたが、遂には最悪な事態を招いてしまいました。



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「オーナー、私、もう辞めます。これから先、Yさんとは仕事できません。」

「ちょっと待ってくださいよ。お互い、あんなに仲よかったじゃないですか。よく話し合えば、お互い分かり合えるんじゃないですか?」

「もう無理です。何言っても無駄だし、話しもしたくありません。」

さすがに、閉口しました。もつれ合った糸は、もう元には戻せないということか。

「せっかく、○年も頑張って来てくれたじゃないですか。そんな事で辞めてしまっていいんですか?もったいないと思いませんか?うちとしては、絶対残って貰いたいんです。私も本当に困ります。」

「無理です。」

相当の覚悟を以て出した結論は、そう簡単に覆すのは不可能だろう。

また、あの切り札を使うしかない。とっさに思い出した言葉に全てをかけた。


「それじゃ、無期限の長期休暇ということではどうでしょうか?」
「万が一、また出たくなったら、いつでもカムバックしてくれていいです。」

暫くの沈黙の後、彼女は静かにうなずいてくれた。こぼれ落ちる涙を拭いて、乱れた化粧も気にせず、唇を振るわせて一言つぶやきました。

「勝手、わがまま言って、ごめんなさい。」

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なんとか、最後の一本の<希望の糸>だけは、残せた。そこまで、彼女の存在は大きかった。

実は、かなり以前にも、<辞める気満々>の彼女を同じように説き伏せて、3週間後のカムバックに成功したことがあったのです。その再現を狙ってみたのでした。

しかし、突然大黒柱を失ったその後のシフトの穴は、かなり大変だった。



そして、私の思惑は見事に打ち砕かれた。

その後、彼女の復活劇はなかった。


私の知る限りでは、Xさん、Yさんとも間違った事を言っていなかった。いたってお互いに正論を語っていた。しかし、さらに対立が深まってしまった。

こうなると、正論か邪論かなどもう問題ではないのだろう。お互いのメンツにかけて、自らの主義主張を貫き通すしかないのだろう。

オーナーとして、どうすることも出来なかった。限界以上の介入は不可能だった。静かに、状況を見守るしかない。もちろん、ニアミス回避の時間差シフトで対応していた。しかし、相手の存在すら許せない気持ちになってしまったのか。気配すら感じたくない。名前も見たくない。そんな気持ちに支配されてしまったのだろうか。

いずれにしても、XさんかYさんの離脱は避けようがなかった気がする。

大人の喧嘩の代償は、くしくもオーナーが被る事になる。



また、男と女が時間を共有すれば、当然のことながら、恋愛感情が芽生えて、恋人同士に発展する場合もしばしばあります。

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これが、既婚者のパートさんと若い大学生とかフリーターとの不適切な関係に発展した場合は、かなりの確率で修羅場に付き合うハメとなります。

店舗によっては、社内(店舗内)恋愛禁止のルールがあったりする。これは、単純明快な理由だ。まず、デートをしたくなれば、同時に休みを取り、シフトに穴をあける。また、喧嘩別れでもしようものなら、どちらかは必ず辞めてしまい、これまた、シフトに穴があいてしまう。所詮、禁止したところで、陰でハートマーク作られたら、同じ事である。また、カップルになって、二人で同じ時間帯にシフトインした場合、気の弛みから平気で二人で悪さをしてしまう。(内部不正)とにかく、スタッフの人間関係の情報は常に最新のものに更新しておかないと、大変な不利益を被る可能性がある。

また、不適切な関係に陥ったパートさんと若いフリーターという組み合わせは良くあるパターンだと言う。稀に、オーナーと若い女子スタッフ、マネージャーと若い男子フリーターという組み合わせも耳にした事がある。

こんなことがありました。

XさんYさん事件のずーと前の話しです。

最初の話しで登場した、熟練パートさんが深夜勤務のフリーターの男性と恋に落ちてしまいました。彼女は離婚を決意して、一方的に家を出て、一人暮らしを始めました。

そして、本気でそのフリーターと結婚するつもりでいました。

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年の差20才?位でしたでしょうか。彼女の確固たる決意とその大胆な行動力には脱帽ですが、旦那さんも納得がいかない様子でした。

どのような話し合いが持たれたかは不明でしたが、彼女は家に戻り、かなり遠くに引っ越しをしてしまいました。残された彼氏は、半ば錯乱状態で、結婚詐欺だ、と騒いでいました。

これも、断片的にしか見ていないので、誰が悪い、だれが正しいとかは一概には断定できない。

しかし、貴重なマネージャーレベルの超主力を突然失った穴は、そう簡単には埋められなかった。


店舗内の狭い職場環境においても、その人間関係には常に注意して把握しておく必要がある。

派閥の存在、仲の悪いスタッフの把握、恋愛関係の存在、スタッフ間の交友関係等は知っておく必要があると思いました。

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出来れば、手遅れになる前に、なんとか対処できればいいのだが、どうする事も出来ないのが、人間関係のねじれ、恋愛問題だろう。

そして、ある意味、そのねじれ、スタッフ同士の恋愛の破局の被害者は、いつでも、確実に、オーナーとマネージャーであると言える。

突然、意に反して、不可抗力的に、主力級を失い、途方に暮れてしまう。
そして、その穴埋めのために暫く長時間労働に耐えなければいけなくなる。

これは、避けて通れない現実だった。


ご訪問ありがとうございました。

追伸:店舗移転後、Yさんは日曜日限定で1時間以上かけてヘルプに来てくれました。また、Xさんにも声をかけましたが、彼女は体調不良を理由に断わられました。
posted by Sun9 at 12:35| 20の理由 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月23日

Flashback 戦力外通知

ご訪問ありがとうございます。

本日のストーリーも、時としてフラッシュバックし、やるせない気持ちにさせられる。




「そちらで、○○、日本名△△という人働いてました?」

「はい、確かに以前に働いていました。確か○○年位前だったと思います。」

「そうですか。実は、近くの道端で倒れていて、亡くなっていたんですよ。身よりもなく、住所もわからなくて。ただ、財布の中に、おたくの連絡先があったので・・・」

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「えっ、そうなんですか。それって、のたれ死にってことですか?」

「そうかもしれないね。」


私は愕然とした。

元店長の悲惨な結末を聞いて、複雑な気持ちになった。

時期的には、店の状況が好調な時だった。

比較的近所に住むPという20才位の成年を雇い入れた。

「自分のおじいちゃんは北朝鮮出身で、僕は在日3世になります。もちろん、生まれた時から日本にいるので、
日本語しかしゃべれません。日本名は○○ですが、今は、本名のPを名乗ってます。」

確か、不鮮明ですが以上のような内容の話しをした記憶があります。

彼は、頭がキレたのか、仕事を覚えるのが異様に早かった。また、仕事に対する姿勢も完璧で、ヤル気も十分感じられた。また、周囲のスタッフからも絶大な信用と信頼があった。

そして、私は、躊躇なく彼に<店長職>を打診した。


「オーナー、そのお話、有り難く引き受けさせてもらいます。」
「だだし、一つ、お願いがあります。」

そのお願いが、また想定外の衝撃的な内容だった。

「オーナー、多分もうお気づきかと思いますが、私以外の夕方、深夜の連中は全員パクリ行為をしています。
自分が、一人づつ話をして、絶対にパクリを辞めさせますので、総入れ替えは勘弁して下さい。」
「今回に限り、私に免じて、どうか許してやってください。お願いします。」

確かに、当時棚卸しロスが多かった。売価で、100万円以上という不名誉な記録を打ち立てたのも当時だったような気がする。正直、私はまさか昼間のパートさん以外、全てのスタッフが内部不正に染まっていたとは気がつかなかった。いや、原因はそれ以外考えられなかったのに、真剣に原因究明を怠っていたに過ぎない。

しかし、マジ胸くそわるかった。

気持ち的には、総入れ替えをしたい衝動にかられたが、いきなり大人数処分したら店が回らなくなってしまう。ここは、Pの手腕に頼るしかないだろう、と決断せざるをえなかった。

「信じたくないが、そうだったのか。じゃ、内部改革に取組んでくれ。よろしく頼む。」

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その後、Pは見事に結果を出した。棚卸しロスは確実に減り、パクる輩もいなくなったという報告を得た。

そして、彼は、以前にも増して仕事に没頭してくれた。特に、不正の温床となりやすい店舗内外、バックルームのクリンネスにこだわっていた。また、夕方シフトのスタッフの顔を見てから帰宅するという日もあった。彼の深夜シフトの時間帯22時〜8時を終えても、店に残留して、自らサービス残業をしていた。

「自分のシフトに影響するから、早く帰って寝てくれ。」

何度、同じ事を言ったことか。そして、遂に、杞憂が現実となる。

次第に遅刻がちになり、日ごとに遅刻癖が悪化していった。

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まともにシフトインする日がなくなり、必ず遅刻をする。ひどい時は、2時間以上も遅れる。夕方勤務の高校生も22時以降は働けない。やむを得ず、相方のワンオペにならざるを得ない。

「オーナー、店長何とかして下さいよ、もう限界ですよ、みんな。」

ぶち切れ気味でそう言うスタッフの気持ちもよく分かる。22時から1時までは、そこそこお客様がやって来る。
それを一人でやらされたら、たまったもんじゃない。

私は、何度も厳重に注意したが、遂にXデーが来てしまった。


某日の深夜、彼は遂に無断欠勤してしまった。そして、替わりに私が出るハメになってしまった。

これ以上、もう彼をフォローできない。他のスタッフの手前もあり、彼だけ、大目に見る訳にはいかなかった。
毎日、必ず遅刻してくるPに対して、ドタキャンは想定内の出来事だったが、もはや、彼を弁護する者、彼の味方は皆無だったのは想定外だった。

当然かもしれない。仕事が出来ても、基本的な出退勤が出来ずに、周囲に迷惑かけ放題では、愛想をつかされるのも当然の成り行きだろう。

そのドタキャン後に、彼を目の前に置いて静かに、語った。

「もうこれ以上、君をフォローできなくなってしまった。他のスタッフが、遅刻、ドタキャンしても、注意出来なくなってしまっている。周囲ももう限界に達している。君には、充分すぎる程チャンスを与えて来たが、もうかなり厳しい選択を迫られている。」

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「それって、もしかして、オレ、クビってことですか?」

「残念だが、やむを得ない。」

かれは、トレードマークの長い皮のトレンチコートを無表情に着込んで、静かに、無言で出て行った。


本当に、残念だが、仕方なかった。

厳しく、何回も切実に注意した。お願いした。でも、彼には改善できなかった。店長だけ、大目に見るのも限界があった。泣く泣く、下した決断だが、悔いが残った。あれだけ店のために尽くした人間をこんな簡単に切ってしまっていいのだろうか、という躊躇の念と、時間を守れないルーズな人間は、店の秩序のためにも粛正しなければいけないという義務感との葛藤に陥り、私もかなり悩んだ。

Pには、幾度となく充分にチャンスを与えた。それを活かせなかったPの責任はやはり重大だ。仮にも、店長だ。店長が慢性的に遅刻をして、ついにドタキャンをした。多分、ドタキャンも常習化するだろう。

やはり、諦めるしかないと決断しました。


Pは近くに住んでいたが、その後、引っ越しをしたのだろうか。父親と二人暮らしだった筈だが、一人きりになってしまったのだろうか。もはや、ホームレス状態だったという事か。

警察から連絡があったとき、「えっ、そんな遠くで?」と感じた記憶がある。彼は、確か、外国人登録証なるものを持っていて、いきなり職質される事があると言っていた。国に目を付けられてるんですよ、と言っていたが、それすら、所持していなかったのだろうか。

そして、当店の連絡先は後生大事に財布の中にしまっていたという。

韓国大使館に相談できなかったのだろうか。生活保護とか行政に助けを求めなかったのか。

なぜ、私に連絡するなり、顔を見せるなりしなかったのか。
迷惑をかけたくないと思ったのか。

いや、無一文で、それすら不可能だったのかもしれない。

天涯孤独となってしまって、腹を空かせて、一夜を明かす事すらままならない時もあったに違いない。
不安と絶望で発狂してもおかしくない。

自殺の二文字も頭によぎっても不思議ではないだろう。

彼は、何を思って行き倒れて、何を感じて死んで行ったのだろうか。

もはや、考える気力もなく、感じる意識もなかったのか。



ほんの一本の電話でもくれたら、なんらかの力になれたかもしれない。

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電話番号が分かっていながら、なぜ連絡出来なかったのか。しなかったのか。

それほど、彼への戦力外通知は彼にとっては苦痛であり、屈辱であり、精神的ダメージを与えてしまっていたということか。


ふと、いまだに思い出して考えてしまう。

やはり、クビは間違っていたのか。

一定期間の休職、シフト時間帯のコンバートで対応できたのではないか。
彼の話しをもっとよく聞くべきではなかったのか。

考えたくはないが、戦力外通知が彼の寿命を縮めてしまったんじゃないのか。


何かしら、力になれたのではないかと、本当に悔やまれて仕方ない。


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今は、静かに、元店長P君の冥福を祈るしかない。

posted by Sun9 at 12:51| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月13日

Flashback 罪と罰(2)

ご訪問ありがとうございます。


前回の話しでは、内部不正の対応に多少(かなり?)の迷走部分があったことは否めない。今回は、同じような事件がまた発生してしまい、全く別の方法で対処した件をお話します。時期は、前回Aの事件の後、移転する2〜3年前位だったと思います。

今回の主人公のスタッフは当時高校1or2年生で、店の直ぐ裏の住人で、5人家族の長男でした。それこそ幼稚園児のころから彼の事は知っていました。ご夫婦も気さくな方達で、本人も含めて兄弟姉妹もいいお客様でした。
No.15 強盗、万引き、詐欺、内部不正等の犯罪被害 (2.内部不正-追記)でも触れましたが、近所の幼稚園児、小学生が成長して、高校生になるとアルバイトとして力を貸してくれる場合があり、殆どの場合はオーナーの味方となってくれたが、一人だけやらかしたのがいました、と語りましたが、実は彼がその例外の人物でした。

まるっきりの見ず知らずの他人ではないために、難しい判断を迫られる。まして、近所の子供の頃から知っていた人間であれば、なおさらだ。そして、超常連さんとなっているご家族とも当然顔見知りであり、良好な関係を築いていれば、さらに事態を複雑にしてしまう。


しかし、本人は、そんな事はおかまい無しで、不正をやらかしてくれた。

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高校生の彼は、夕方の時間帯、17時〜22時のシフトに入っていました。もちろん、信頼して、レジの両替を任せていました。しかし、時として、千円単位で金庫内が合わない時がしばしばありました。不足のあった日の点検レシートを全て保管していたので、ふと、ある事実に気がつきました。金庫内不足が出ている日に、必ず「彼」がいるではないか。

「まさか、さすがに、それはないだろう。彼がそんな事をする筈がない。」

根拠のない信頼感が疑惑へと変化し、そして犯人への確信と変わるのにそう時間はかからなかった。またしても、彼の時間帯で金庫内が高額紙幣分合わない。信じたくはなかったが、確信があった。防犯ビデオに釘付けになり、入念にレジ前と、バックルームの金庫を録画してある部分を何回も見た。

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そして、決定的瞬間を発見してしまった。

4〜5時間の空しい作業は、確実な証拠を手に入れて終了した。

手口としては、単純だが、大胆だった。まず、自分は疑われないと思っていたのだろう。

両替するために、レジからお金を取り出し、バックルームに入り、金庫に着く前にポケットに入れる。そして、レジから持ち出した分だけ金庫から持ち出して、レジに戻す。


レジから紙幣を取り出したはずなのに、金庫前では手ぶら状態で金庫の引き出しを開けていた。拡大して見れば、手に何も持っていないのは一目瞭然だった。

正直、怒りより悲しみの方が大きかった。

こうも簡単に、人の信用を裏切り、人様のお金を盗めるものなのだろうか?

この子のご両親、ご家族とどう接すればいいのだろうか?

やはり、親には知らせた方がいいのだろうか。自営業の父親はまさか自分の子供が金を盗んだなんで信じられないだろう。母親も、錯乱状態に陥るかもしれない。兄弟姉妹にバレたら、それこそ一生白い目で見られるかもしれない。

とにかく、本人には話すしかない。

嫌な、仕事だ。


後日、たまたま買い物に来た彼をバックルームに呼んで、静かに話した。

「ちょっと、見てもらいたいものがあるんだけど、いい?」

ニヤついて少し紅潮していた彼は、黙ってうなずいた。

「これ、なんだけど、なんだか分かる?」

例の犯行部分の一部始終を見せた。私は、スグに謝罪の言葉を予想した。しかし、彼から思わぬ言葉が飛び出した。

「なんすか、これ。」

私は、耳を疑った。こいつ、認めるどころか、知らぬ存ぜぬを押し通す気だ。もう一度、ビデオを確認しながら見せた。

「レジから、万札持って行ってるよな?見えるだろ?」
「はあ」
「認めるな?」
「はい」

「じゃ、ここで、その万札ないだろ?どこいっちゃたんだろうね。ほら、手に持ってないだろ。金庫に入れてないよな。」
「いや、ちゃんと入れてます!」

こいつは、罪を認めないつもりだ。ふてぶてしいガキだ。誰が見ても、明白だ。画面を拡大して、スローで見せてやった。

「何処に万札がある?教えてくれよ。」

「明らかに、何も持ってないだろ?」

「・・・・・」

茫然自失とはまさにこの事だろう。いきなり、決定的証拠を見せつけられて、ぐうの音も出ない。私は、静かに背中を押してやった。


「どうして、こんなことしたんだ?」
「君のご家族が知ったら、本当に悲しむぞ。」

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「すいません・・・でした。」

さすがに観念して、全てを話しました。


親が、数ヶ月前に離婚して、彼と父親は裏の家に住んでいるが、兄弟姉妹と母親は別の所に暮らしているとの事。父親の仕事が不調で、金欠気味で、自分の生活費が足りなくても父親には言えずに、つい目の前の現金に手が出てしまったとのこと。

そう言われてみれば、彼の母親と、その兄弟姉妹をここ最近ずーと見かけていない事実に気がついた。

だからと言って、許される訳がない。

もちろん盗んだお金は全額返してもらう。そして、親に話して、とことん再教育してもらううのが筋だろう。取りあえず、

「後日、処分を下すから、○○日後に来てくれ。」


そう、告げて、追い返した。


「二度とオレの前にその顔見せるな。店は永久出入り禁止とする。盗んだ金は、給料から天引きで、残金があれば今払う。万が一、約束を破って店に来たら、父親に今回の犯罪行為を全て話す。警察にも話す。選択の余地なんてないよな。じゃ、ここに、今の内容を手書きで書いて、サインしてくれ。」

書類を書き上げて、彼は、謝罪の言葉を残して静かに去って行きました。

やはり、親に話すのは辞めました。

父親に話しをすれば、少なからず、ヤツの家庭を破壊してしまうだろう。未成年者のケツは親が拭いて当然なんだろうが、今回の事件で父親との断絶もありうる。母親はもっと悲しむだろう。自分の責任だと思い込んでしまうだろう。親の離婚で、もう既に破壊されている家庭をこれ以上破壊してしまうのはなんとも後味悪い。

自ら猛省して、今後の生きる教訓となれば、それでいいのではないか。

確かに、甘い処分かもしれない。
私の処分は間違っていたのかもしれない。
犯罪者に対する社会の現実の厳しさを知るべきだったのかもしれない。

しかし、同じ親としたら、身内の、しかも我が子の犯罪など知りたくもないし、信じたくもない。成年後の犯罪であれば、かなり自己責任の部分もあり、親としても悲しい気持ちには変わりないが、諦めもつくだろう。

少年法の適用で少年が人さまを殺めても、その罪は限定的だ。

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ましてや、パクリ行為なんて屁みたいな罪なのかもしれない。だから、大目に見たと言う訳ではないが、良い事、悪い事を身をもって体験して、今回の不正行為を猛省し今後の自らずからの行動を律するきっかけとなれば、それで十分なのではないか。

私の独りよがりの親のエゴが派生したのかもしれない。

また、本人も充分反省しているだろう。時間の経過とともに「バカな事をしてしまった」と心に長期間残っていくことだろう。前話のAも、当初は誠意ある反省の弁もなく、あきれ果てる程の非常識ぶりを露呈していた。しかし、忘れた頃に、わざわざ謝罪しに顔を出してくれた。やはり彼も、時間の経過とともに悩んだのだろう。

そして、また、こんなことも思い出してしまいました。


いつ頃の話しなのか、思い出せません。都内での店舗の話しです。かなり、稀な体験をしました。

ふと気がつくと、懐かしい元スタッフがレジ前にいた。辞めて、3〜4年は経過していたと思う。


「オーナー、本当に申し訳ありませんでした。これ・・・」

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不用意に差し出された 1万円札 を見て、すぐピンと来ました。

「ずっと、気にしてたの?」

苦笑いしつつも、はっきりと、

「はい。ついやってしまいました。本当にすいませんでした。」

そう言い残して、彼は足早に店を後にしました。そして、どことなく晴れ晴れとした表情が印象的だった。

彼は、高校時代のシフト中にレジから一万円を盗んだのだろう。それが時間の経過とともに、己を許せなくなり、ついにはその罪を精算したくて以上のようなアクションを起こしたのだろう。

話しが逸れますが、一万円近くのレジ不足は、しばしば発生する。殆どが、千円、5千円札と万札との見間違いだ。これは痛い。差額分のお金を差し上げて、無料で商品をお持ち帰り頂くというダブルロスだ。もちろん、スタッフに弁済させられない。労基法に抵触するからだ。このリスク、被害も全てオーナーが一人で被ることになる。ブラック店舗では、その時間帯で入った人間が連帯責任で全額弁償とか、レジ担当者が特定されている場合は、不足分は給料天引きです、なんていう処理もおかまい無しで横行している。共同責任を押し付けられたら、シフト時間帯で一万円近くの不足が出た場合、当日のギャラが殆どパーになってしまう。

「じゃ、現金過剰の場合は、その差額分はもらえるのかよ?」

と考えても不思議ではない。そして、不満が蓄積されると現金過剰を自作自演して、レジから平然とお金を抜いて行く。レジは多少の経費がかかっても、スーパーみたいに自動レジにするべきかも知れませんね。本来、本部負担でそうするべきだと思いますが、現実は全てオーナー負担らしいです。


実は彼は、某俳優養成所の研究生で、トップクラスに在籍していた。なんと、私が血迷って入所した養成所(第4話 無限地獄の始まり編で詳細)と同じところだったのだ。そして、限られたわずかな優秀な研究生しか在籍出来ない最上特別クラスにいたのです。実際、某有名女優の子役として、刑事物のドラマに出演した彼をテレビで見ました。

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高校生の割に礼儀正しく、言葉遣いもまさに完璧で社会人を経験した人間と殆ど変わらず、もちろん仕事も人並み以上にこなしてくれました。当然、私も一目置いていました。

そんな、超優等生な彼が、レジから金を抜き取っていたなんて、本当に驚きました。しかも、それをかなり時間が経過して返却しに来るなんて、2度びっくりでした。


私は、その後、埼玉に移転した後は、高校生の採用を辞めました。もちろん、高校生でもキチンと仕事ができる人が殆どですが、現金の事故は圧倒的に高校生が多かったです。

しかし、現状の雇用状況は悲惨極まりないものがあるようです。ほぼ最低時給に近い時給では、その高校生ですら集まらない。しかも、セブンのブラック大賞受賞後の業界イメージダウンで敬遠されがちだという。時給の割に覚える事が多すぎで、アホらしい、キレる変な客が来る等マイナスイメージのオンパレード状態だという。

やはり、外堀は埋まりつつあるのか。

貴重な人材が集まらない、育たない。

崩壊へのカウントダウンは、静かに、そして、確実に進んでいる。

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そして、ヤツはその後の閉店の宴会には当然顔を出さなかった。健気に約束を守っていたのだろう。


この事件を思い出して、前回登場のAに対しても、同様な処置、処分が適切ではなかったのかと思う今日この頃です。

やはり、血気盛んな30代ではそこまでは冷静に判断出来なかったのだろう。

「犯罪者の家庭環境がどうなろうと、そんなの心配してられるか。甘えるんじゃないよ。罪を憎んで、人も憎む。これ、普通じゃないの?こっちは被害者なんだからさ。」

と考えていたかは不明ですが、それに近い精神状態だった事は否定出来ません。

埼玉に移転した後も、内部不正はありましたが、基本的には、本部への報告、反省文の提出、店鋪への出入り禁止、不正行為の弁済、シフト即日解除後、後日解雇という処分で対応しました。

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警察、親への連絡は、よほど悪質であると判断した場合に、そうしようと考えていましたが、オーナー職を返上するまでには、その事例は一件もありませんでした。


ご訪問ありがとうございました。
posted by Sun9 at 16:07| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月06日

Flashback 罪と罰(1)

ご訪問ありがとうございます。


自らをリストラして、約2年経過しましたが、相変わらず、コンビニ時代の夢を見てうなされて、深夜に目が覚めて、

「ああ、ホント、夢で良かった!」

と胸を撫で下ろすことが未だにあります。圧倒的にレジ前でぶち切れたお客様の対応、クレーム対応編が多いです。


また、覚醒している時でも、突然過去の出来事がフラッシュバックしてしばし我を忘れる事があります。

「これって、PTSD(心的外傷後ストレス障害)なんじゃね?」

とか思う時もある程、生々しくいろいろな事件を思い出してしまいます。

最近、ふと、ある事件を思い出して、その対応について

「果たして、あれで良かったのか?いや、間違いだったかも。」

と悩まされてしまいます。

ケリをつけたつもりでも、何度も頭に浮かんでしまいます。

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コンビニ経営において、内部不正は避けて通れない試練かもしれない。そして、その対応も、今考えてみて後味がいいもの、悪いものがある。(後味がいいというと語弊があるかも知れないが、そうするのが妥当であり、やむを得なかったんじゃないか、という場合の事をさします)

その、後味の悪かった事件を未だに引きずっている。

コンビニにおいては、特に、金庫にまつわる不正行為は後をたたない。何故か?

1.レジ内と金庫の両替は24時間対応が必要だが、誰がやるのか。
2.金庫の鍵は何処に置き誰が管理するのか。
3.金庫内の両替(銀行へいく)は誰がやるのか。
4.金庫内の現金不足は定時に金庫内確定をしなければ気がつかないが、いつ誰がやるのか。
5.両替をした場合、した人間が必ずその記録を残すようにしているか。
6.防犯ビデオで金種が確認出来る程24時間鮮明に録画しているか。

以上はオーナー、マネージャー(奥様)が常に実行、管理、確認出来れば、何ら問題ない。

しかし、そんなのはまず不可能だろう。時間帯によって、またその日の状況によって、必ずしも完璧に出来ない場合がある。たとえば、夕方19時〜22時は大抵スタッフのみの運営とならざるをえない。また、本部での研修等がありオーナー、マネージャー共に朝から夕方まで不在という場合もある。この、金庫の管理を完璧にこなすのはかなり至難の業と言わざるを得ない。

そして、一般的には、ついついルーズになってしまい、いつのまにか金庫の鍵は常に施錠されていない状態なんていう状況が殆どなのかもしれない。また、金庫の鍵も、決まった所で保管するのが一般的だろう。そして、金庫をターゲーットにした防犯ビデオすら設置してない店鋪もあるだろう。

そして、そのような状況で、事件は起こるべくして起きてしまった。時期的にはマネージャー不在で隣に競争店が現れて数年後の頃だったと思います。


「オーナー、Aがなんか店で新しい現金収入の方法を見つけたとか言って自慢してました。怪しくないですか?」

そう告発してくれたのは、近所に住む元スタッフでした。彼は、高校卒業と同時に家業を継ぐために退職し、ご両親も超常連さんでした。Aは、「先輩!先輩!」とかなりその元スタッフに親近感を抱いていて、ついつい油断して口が滑ったのだろう。

No.15 強盗、万引き、詐欺、内部不正等の犯罪被害 (2.内部不正-追記)で触れましたが、近所の幼稚園児、小学生が成長して、高校生になるとアルバイトとして力を貸してくれる場合があり、殆どの場合はオーナーの味方となってくれると記しましたが、店を辞めてからもこのような形で協力を得られる場合があります。

正直、私は、かなりショックを受けました。Aも近所に住むスタッフの紹介で入った人間で、真面目かつ仕事も普通になんでもこなし、全てにおいて協力的な人間でした。しかし、かなりの確立で、何かやらかしている。私は、単刀直入に彼に聞いてみる事にした。何かの間違いであって欲しいと願いつつ。

「○○君から聞いたんだけど、うちの店で、いい現金収入の方法を見つけたんだって?何それ?」

以外にも、Aは、スグにゲロしました。

何と大胆にも、鍵の掛かっていない金庫から自由に金をパクっていたとのこと。

確かに、金庫内確定をすると、いつも規定額より少なかった。また、超多忙のため、金庫内確定も不定期で、金庫も施錠せずに誰でも24時間両替できる状態にして、放置してしまっていた。

だからと言って、お金をパクっていいはずがないだろう。金を盗むヤツが一方的に悪い。
そう言えば、直近で出た巨額の棚卸しロスの原因も、こいつが商品を大量にパクってたんじゃないのか?
この件についても問いただしてみた。

「もう、何を言っても信用してもらえないから、何も言わない。」

こいつ、犯罪者のくせに、このナメた態度は何だ?その態度とセリフが私の平常心を奪った。

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激怒した私は、まずAの親(母親)に電話で全てを告げました。シフトの件で何回も電話していたので、母親の声は知っていましたが、完全に動揺していた様子で、数分の沈黙がありました。さらに一方的に続けました。

「今回の犯罪行為で当店は多大な被害を被りました。少なくとも、20万円の被害は息子さんが原因です。息子さんは完全な前科一犯です。この20万円を弁償してもらえませんか?」

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何を根拠に20万という数字がはじき出されたのか、どうしても思い出せませんが、キッパリと言いました。

「その代り、本部にも、警察にも、学校にも一切連絡しません。20万円で示談にしましょう。」


その後、本人と父親、母親が店に直接謝罪に来て、20万円を置いて、示談書に署名しました。その間、彼は、謝罪する訳でもなく、一人で店内で立ち読みをしていました。本当に不遜なヤツだった。

反省の色、全くなし。こいつ、完全にいかれている、と思いました。親も救われないな、と思いました。こんな、不良息子とこれから先、どうやって一緒に生きて行くのだろうか?

「まぁ、オレの知ったこっちゃない。不作な息子を呪えばいい。」
「20万で多少なりともロス部分を回収出来ただけでもラッキーだったじゃないか」


当時、血気盛んな30代の私は、この内部不正に対して完璧な解決をしたと思っていました。当時は別に違和感など微塵も感じてなかった。むしろ、天罰だろ、と思っていた。

しかし、年の経過とともに時として、自問自答する自分がいた。

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「親から罰金はマズかったんじゃないのか?いや、当然の結末だろ。何か問題あるのか?」
「なぜ、すぐに警察沙汰にしなかった?本部に連絡しなかったんだろうか?」
「管理体制の甘さ、不備があり、自分にも責めに帰す部分があるのではないか。一方的にヤツを責めるのはおかしくなかったか?」
「金をパクられたオレが、今度は恐喝かよ。オレも犯罪者じゃないのか?」
「何を根拠に、20万円なんだ?Aに確定的な証拠があったのか?結局、相手の弱みに付込んだ恐喝だろ?」
「未成年者の不始末は、親がケツを拭いて当然だ。最後まで事の真相を話さなかったヤツが悪い」
「金庫から盗んだのは事実だか、棚卸しロスの責任を問うのは無理があったんじゃないのか?」


特に、子供が成長して、Aと同じ位の年になったとき、私は動揺した。店に謝罪に来た時のご両親の憔悴しきった顔を今でも、ハッキリと明確に覚えている。まさに、青天の霹靂だったに違いない。

終始ほぼ無言で、悲しくうつむく母親。弱々しく力なく謝罪し、頭を垂れる父親。結局、終始ふてくされ状態で
売場で立ち読みをしていたバカ息子。

果たして、親の彼らに罪はあったのだろうか?

多分、自宅において幾度となく修羅場を迎えただろう。いや、そんなものはなかったのかもしれない。多感な年頃の子供を持つ親の苦労は痛い程理解できる。ましてや、自分の子供が犯罪を犯したなんて考えたくもないし、信じたくもない。その後も毎日顔を合わせなければならないし、その後の対応にも気まずいものがあったろう。

でも、悪は悪。罪は罪。罪は罰によって裁かれる。
また、未成年者の親としての責任は問われて当然だろう。


しかし、だからと言って、20万円はやはり、やり過ぎだろう。
若気の至り、一時的な私の激情で、Aの平穏な家庭を破壊してしまったんじゃないのか?
何か、別の方法があったのではないか?
その後の想定される悲惨な家族関係を理解できなかったのか?


いや、もし、自分が同じ立場だったら、黙って20万円払って示談にするだろう。


わからねー。


自問自答は不意打ちのごとく突然頭に蘇り、そして、断続的に当分続きました。

そして、時間の経過と共に、自責の念にかられ、後悔の気持ちが支配的となり、ある意味、自己嫌悪に陥りました。

ガキはどうでもいい。親の悲しい顔を見たくなかった。確たる証拠もなく親を巻き込んだのは間違いだった。
結局、親に因縁をつけて、20万円脅し取ったのに等しい。その事実は限りなく犯罪であり、その記憶はもう消せない。

しかし、その気持ちも、時の経過とともに風化し、いつの間にか記憶の外に追いやられて行きました。


しかし、私は、その後Aとの再会を突然果たす機会を得ました。もう、40代後半の頃だ。その事件も記憶から完全に消えていた時だった。


本部からお取り潰しの命を受け、埼玉の店鋪に移転する際に、閉店一週間位前から深夜営業がなくなりました。当然、私が泊まり込んで、店番をした訳ですが、当時の昼間のパートさん達が主体となって、連日店内でお別れ飲み会が行われました。半額処分される酒類を大判振る舞いしました。

「ダダで飲みたい放題だ、バカヤロー!」
「思う存分、飲んでくださーい!」

宴会は毎晩朝方まで続きました。そして、歴代のバイト連中が集結して、労をねぎらってくれました。20年近く、そこで営業していました。かなりの数の歴代スタッフ達が連日、日替わりでやって来て、昔話に盛り上がりました。スタッフとして活躍してくれた近所の子供達も、立派に成人して、元気な顔を見せてくれました。感謝の気持ちと惜別の思いに感無量でした。そして、そんなある日、Aが元スタッフを通じて挨拶がしたいと、すぐそこまで来ているという話しを聞き、反射的に、「OK」してしまいました。


「オーナー、その節は本当に、御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「いや、オレも、少々、ヤリ過ぎた。若気の至りだった。今、本当に反省し、後悔している。」

(何、オレが謝ってるの?)と思いつつも、酔いが本音の部分をさらけ出させたのかもしれない。

「いや、いや、いや、オーナー、そんなこと言わないで下さいよ。悪いのは自分なんですから。」
「いや、オレも、正直、胸につかえてたんだ。あとで、なんだかやり過ぎたかなみたいな感じで。でも、今日会えて、自分の気持ちを伝えられてなんだかホッとしたかな。」

「オーナー、じゃ、これで、もう全て、忘れましょう、お互いに。」
「そうだな、じゃ、そうしようか。」

Aは20代半ば過ぎの立派な青年となり、自分の人生の目標を叶えるために真面目に働き、そして修行の日々を有意義に過ごしているとの事。

私の、彼の不正行為に対する行動は、今でも疑問が残る。いや、間違っていた、と思う。それは、また、彼も同じようにずっと引きずって生きて来たのだろう。

お互いに本音で語り合い、私は少なからずの気休めにはなった。
正直、これで、手打ちにしたいと思った。


普通に彼と乾杯して、今後の彼の成功を願った。

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しかし、時として、未だに、彼の母親の悲しい顔がフラッシュバックしてしまう。


宴会最終日には、家内と、娘二人(中学生と小学生)も参加して大いに盛り上がり、私の最後の言葉で幕を閉じた。


「私の身勝手により、(実は本部の都合)現スタッフの皆様には多大なご迷惑をおかけする事を許して頂きたい。皆様の職を一方的に奪って、自分一人だけ逃げて、生き延びて、生き恥をさらすようなことになってしまったが、本当に許して頂きたいと思う。皆様の無念を心に刻んで、死ぬ気で、マジ頑張ります。長い間、本当にお疲れさま、そして、今まで、当店の力となって頂き、本当にありがとうございました!」

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みたいなことを言って、最後の宴会は終了しました。


そして、それから、約7年後に、職を失い、破綻しました。

一人生き延びた天罰、自業自得だったのでしょうか。

恐喝のバチが当たったのでしょうか。


ご訪問ありがとうございました。

posted by Sun9 at 00:37| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする