2017年12月03日

本気で限界を感じた事件(4)

ご訪問ありがとうございます。

何かと謎の多い人間だったが、その後の調査、スタッフからの聞き取りでヤツの異常さがさらに浮き彫りにされることになった。

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私の不在時の夕方シフト(17時〜24時)に来店するときはかなりの確立で泥酔状態であり、度々悪態をついているとのこと。

また、必ずソフトクリームを注文しては、必ずケチをつけて作り直させるという。

また、パクリ用の黒のビニール袋もたびたび持参していたらしい。しかし、大量パクリは直近からの犯行と思われる。味をしめてエスカレートしてきたということだろう。

もう、ヤツと直接に対決するしか方法はない。

しかし、万引きの現行犯捕獲で警察へお願いするという方法は使えない。

長時間労働の自分が、そのためだけに防犯ビデオに張り付いている訳にはいかない。また、時間帯スタッフでは荷が重過ぎる。

ヤツは、たまに私のいる深夜にも来るときがあった。

しかし、そのときはごく普通の常連客としの顔で、なんら問題なかった。

私は、その時を待った。

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そして、例の対策を決行する決心をしていた。(熟練常連万匹犯編

そして、遂にそのチャンスがやってきたのだ!

某日深夜、午前3時ごろ、深夜スタッフがたまたまいた時間帯だった。

事務所で休憩していて、何気なくビデオを見ていた。

そして、全身がゾクッと反応した。

ヤツがなにくわぬ顔で、例の黒のビニール袋を持って入店してきたのだ。

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私は、条件反射的に、スタッフに告げて、売り場に飛び出した。


「バックで待機してくれ。ケリをつけてくる。もし、オレが殴られたり、刺されたりしたら、スグに110番してくれ。」

意外と冷静な自分に驚いた。

身の危険を感じながらも、対決しなければ自分の店は守れない。

覚悟を決めた上での行動には、もう迷いはなかった。


男性化粧品の棚前で物色(?)していたヤツに声をかけた。


「こんばんわ。お客様、ちょっと今お時間よろしいでしょうか?」

シラフ状態だったが、突然の声かけに驚いた様子だった。


「お客さま、大変恐縮なお話なのですが、他のお客様からの連絡で、ビデオを確認させて頂いたら、決定的瞬間が写っていまして・・・、外の公衆電話から全て見ていたとの事で・・・」


確かにその映像は実在したが、通報者がいたというのは私のアドリブであった。


私は、身構えた。

その場からスグに逃げる心の準備もしていた。


「ふさけんじゃねー!!その証拠みせてみろよ!!」

という怒号を予期していた。


「すみません、そうなんですか。実は、全く覚えてないんですよ。でも、ビデオに写っているんなら、そうなんでしょうね。」


想定外の拍子抜けする返答であった。

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「いや、自分は、実は薬物中毒者で、お恥ずかしいですが、辞められなくて・・・」

コイツ、本当かよ。


「もし、なんなら、今スグ警察呼んでくれてもかまいませんよ。」

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このやろう、反省のかけらもない。

現行犯でもないのに警察を呼べる訳ないだろ。この開き直りともとれる態度には心底呆れ果てた。しかも、人の顔を正視してなんら悪びれた様子はない。

多分、近隣のコンビニでも荒らしまくっているのだろう。そして、バレた時の対応も全て頭に入っているのだろう。

無意識でとは本当に恐れ入った。

とりあえず、万引きを認めはしたが、薬物中毒での無意識での行動であって、責任能力は暗に否定している。

敵は、全て計算ずくで、法律にも詳しいのかもしれない。

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私は、例の便所のブラシ持ち出しの件も話しをして問い詰めてみた。


「本当ですか?全く記憶にないですね。そんな物、盗んでも自分で使う訳ないですよね。不衛生ですし。」

「確かに、自宅に、こんなもの買ってないのに、何であるの?というのがたまにありましてね。多分、どこかからか無意識に持ち帰ってしまってるんでしょうね。」

こいつは、とんでもない悪党だ。敵は一枚上手だったかもしれない。しかし、私も、ここで引き下がれない。話を進めた。

「とりあえず、その、無意識で持ち帰ったものをお持ち頂いて、当店のものであれば返却してもらえませんか?」

「それでよければ、探してみます。」

99%ウソ臭い話ばかりで面食らったが、とりあえずボールは投げた。

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そして、ヤツは、この場に及んでも、平然とセルフコーヒーを一杯買って店を後にした。


私は、本気でヤツの戦利品を返却してもらおうなどとは考えていなかった。

当然、ボールは返球されないことを願っていた。

とにかく、もう二度と来店してくれなければいい。

結果として、出入り禁止効果が得られればそれで充分だと考えていた。

まさか、ヤツも、これこれパクリました、といって、戦利品を持参してくるほどおバカではないだろう。

多分、もう、来店しないだろう。

万引き犯として顔も割れている。しかも、それら盗品を店にもってきて、見せてくれと言われれば、普通の神経の持ち主であれば、もう二度と顔を出せないだろう。


これで、一件落着のはずだ。


私は、店舗存続の危機と日常の平穏な生活の崩壊の可能性、不安定な生活基盤に振り回されつつ、今後の残された人生の選択を決断しなければならない状況に追い込まれていた。

そんな状況のなかで、このような異常な人間と係わり合いをもたなければいけない現状の仕事、このコンビニ業に嫌気を感じていたのも事実だ。

オーナーは孤独だ。上納金(ロイヤリティ)を払い続けても、いざとなったら全て自分で解決してゆかなければならない。本部は、提案はするが、解決はしてくれない。当然と言えば、当然だが、身体一つしかないオーナーにとっては、過酷な仕事となるのは避けられない。

全ての時間と空間が自分の意思とは無関係に自分にダメージを与えている錯覚に陥る。

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オレの長年のコンビニ生活は、なんだったのか。

妻に精神的肉体的負担をかけ続けて、子供たちにはなんら父親らしいことも、家族としてのイベントもないないづくしだった。

しかし、自己嫌悪に陥っても、もう手遅れだろ。

現状を否定して、ふてくされていても何も生まれない。

明日に不安を抱き、未来に絶望していてもラチがあかない。

未来を信じて、行動するしかないのは分かりきっていた。

私は、この段階で、コンビニ離脱を認識しつつ、そのXデーを意識し始めていた。

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しかし、ヤツに関してはしばらくは油断は禁物だった。

相手は、裏社会で生きている人間だという。



どんなマイナスサプライが待ち受けているか分らない。

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そして、やはり、サプライズはやって来た。


posted by Sun9 at 02:28| 事件簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする